Leatherman SQUIRT PS4
2011.4.15更新
 レザーマン(Leatherman)の『スクォート PS4』(Squirt PS4)の紹介です。
 このスクオート PS4は、レザーマンツールの中で、ペンチ(プライヤー)を搭載した最小・最軽量のマルチツールです。 2010年6月に発売。 2002年に発売されたスクォートP4の発展版で、ドライバーを一部省略して、待望のハサミを搭載しています。


<ほぼ原寸大>
スクォートPS4
<テクニカル・データ>
レザーマン スクォート PS4 / スクォート P4
( )     項目  Squirt PS4 Squirt P4
(A)  ハンドルの全長  57.3mm  57.2mm
(B)  ハンドルの幅  18.0mm  18.8mm
(C)  収納時の幅(突起部を含む)  20.7mm  20.7mm
(D)  ハンドルの厚さ  12.4mm  10.9mm
(E)  収納時の厚さ(突起部含む)  13.9mm  13.4mm
(F)  メインブレードの刃渡り  38mm  38mm
(G)  メインブレードの厚さ  1.5mm  1.5mm
( ) メインブレードの材質  SUS 420HC  SUS 420HC
( ) 基幹部品・プライヤーの材質 SUS 420J2  SUS 420J2
( ) ハンドルの材質  アルミニウム  アルミニウム
( ) 重さ  56g  55g
( ) 搭載ツール数  12種類  13種類
( ) 分解可能なパーツ数  37点  分解不可
( ) 構成パーツ数  39点  -
付属:多言語取扱説明書(すべて実測値です)

もくじ


装備の軽量化に際して -日常から登山まで-

 大いにアリだと思います。
 最小クラスのペンチ(プライヤー)にハサミが付いたことで、弱点を感じないミニツールに仕上がっています。 軽量性・携帯性に主眼を置いたツールとしては、まず目を向けたい製品ではないでしょうか。
 ペンチの有用性が分かっていても、フルサイズのマルチツールは「重い」し、「オーバースペック」な感は否めません。 私はウェーブをベルトに着けていたら腰が痛くなり、日常での携帯は止めてしまいました。
 また、登山装備の軽量化に際して、Squirt P4を選びましたが、包帯のカットや個包装の開封にはハサミが便利なので、 ビクトリノックスのクラシックも一緒に携帯するという始末。
 スクォートPS4は、これらの憤りを解消してくれる決定版として、期待したいと思います。
参考重量(実測値)
 レザーマン スクォートP4  55g
 レザーマン スクォートPS4  56g
 レザーマン スタイル  23g
 ビクトリノックス クラシック  21g


『スクォート』というツールについて

 「squirt」とは、『迸る』『噴出する』といった意味の英語。
 私見ですが、レザーマンのスクオート・シリーズは、「ポップでかわいいミニ工具」。 丸っこいカタチにアルミのカラーハンドル。ロゴデザインからして、そんなイメージです。
 ただ、もしかするとこれは、すでに昔の話かも。スクォートP4とS4、E4は丸っこさが前面に出ていますが、 新発売のスクォートPS4とES4は、ポップではありますがプレーンとかシャープといった印象もあります。
 レザーマンツールの中では、何かの派生ではなく「Squirt」というシリーズとして誕生し、確固たる地位を固めています。 「ミニツール」が先駆け、「ジュース」が仲立ち、「スクォート」で結実した「実用性を害せず小さくする」というレザーマンツールの挑戦。 世代を重ねているだけに、このスクォート・シリーズは完成されたシリーズです。
<レザーマン スクォート・シリーズが誕生するまでの軌跡と寸評>2010年7月時点
 シリーズ
 /モデル
 本サイトの寸評  発売年
 PST  マルチツールの基礎であるPST発売。すべてはここから始まった。  1983年
 ミニツール  PSTを元に、ハンドルを半分に折りたたむ機構を採用。  1986年
 マイクラ  メインツールに初めてスプリング機構とハサミを採用し、全体を小型化。  1996年
 ジュース  初めてツールに板バネ機構を採用したユーティリティ系マルチツール  2001年
 スクォート  P4、S4、E4。マイクラとジュースから良いとこ取りした最小のマルチツール  2002年
 スクォート  PS4とES4。P4とE4にハサミを搭載。弱点を克服した最小・最高なマルチツール 2010年
 なお、スクォートP4、E4は、本国のサイトではすでに廃盤扱いになっています。
日本の市場にも次第に影響が出ると思うので、P4やE4が欲しい方は今のうちに手に入れておいたほうがよいかもしれません。

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スクォートPS4とP4の比較

 スクォートPS4は、同じくスクオートP4の発展版・後継モデルで、P4のキリとマイナスドライバー(特小)を廃してハサミを着けたものです。 それ以外のツールや構成パーツはほぼ同じで、流用です。
<スクォートPS4の主な変更点・改善点>
 ・ハンドルデザインの変更
 ・キリ、マイナスドライバー(特小)を省略して、ハサミを追加
 ・ナイフのネイルマークを大型化
 ・キーチェーンリングをハンドルに収納した際に、ツールを収納できなくなる問題点を改善
 ・パーツの一部にプラスチックを使用
 ・プライヤーを折りたたむ時の硬さを解消
 ・ピボットをはめ殺しからへクスクローブネジに変更

 ハンドルデザインが大きく変わりました。P4は当時流行った光沢のあるパステルカラーで、左右対称のデザインです。 対してPS4はマットなソリッドカラーで少し無骨な、マイクラに近いイメージです。
 また左右対称ではなく、メインブレードとヤスリ側のハンドルは弧を書くように浅くえぐれていて、ツールが出しやすくなっています。 反対側のハンドルもただのプレートではなく、表面が弧を描くように薄く斜めに削られていて、デザイン的にもバランスがよい仕上りです。 実際、アウトドアはもちろん、ちょっとオシャレな街中やオフィスなど、あらゆる状況で違和感なく持ち歩けると思います。
 旧製品であるP4のほうが機能的に優れているのが、ハンドルの角の処理。 P4のハンドルは丸く、全く手の負担にならないのに対し、PS4のハンドルは角が立っています。ただ、フルサイズのマルチツールと違ってスクォートは 小さいため、掌で包むように扱うことは少なく、結果的に手の負担にはなりません。



各ツールは、ハンドルを閉じたまま出せる

 ウェーブやスケルツールと同様に、ハンドルを閉じたまま各ツールを出すことができるデザインです。 これは当然のようですが、実はレザーマンの中にも、ハンドルを一度開かないとツールが出せないモデルが多いのです。
 つまりスクォートPS4は、基本デザインは往年の名作ウェーブとほぼ同じで、W型ハンドルフレームの外側にツールを配しています。 プライヤー以外のツールを使う比重が大きいほど、「ハンドルを開かなくてもツールが出せる」ことは重要になります。 レザーマンツールはプライヤーがメインですが、それはブランドとしての話。

 人によりますが、私はスクォートPS4のメインツールは「ハサミ」。実の使用頻度ならハサミになります。 逆に言えばスクォートP4は主役不在だったわけですが、ハサミが外側に着いていることで、スクォートPS4は私にとって「いつでも携帯したいツール」に決定しました。

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小さいが実用的なプライヤー

 メーカー公称のメインツールであるニードルノーズプライヤーです。スクォートP4と全く同じ形をしています。 この小さいプライヤーは、スクォートP4で初めて採用されたデザインで、現行ではスクォートPS4だけに搭載されています。 フルサイズと比べ絶対的な強度では劣りますが、逆に小さく薄いため、細かい作業や微妙な力加減が必要な場面で活躍します。
 小さくても質は本物。硬いステンレス製の針金を曲げることなど、後述のスプリング機構本体の軽さ・取り回しの容易さも手伝って、 フルサイズのマルチツールより作業しやすいくらいです。




<プライヤーにスプリング機構を搭載>
 Squirtシリーズには、プライヤーに画期的なスプリング機構が内蔵されています。 スプリングは市販のペンチやニッパーに多いコイルバネではなく、板バネを採用しています。
 多くの市販ニッパーは反発力が強く開きも大きいのに対して、スクォートは柔らか過ぎず閉じるのに適度な力が必要で、 かつ反発は最小限という独特な使用感です。 このため、例えば針金を曲げて整形する場面など、スプリングなしのモデルでは味わえない最高の使い心地を提供してくれます。

 さらに、このスプリング機構は、プライヤーを畳む(ハンドルを閉じる)過程で解除されるため、 市販のペンチのようにペンチが開いたままになってしまうようなこともありません。

<レギュラープライヤー>
 スクォートのプライヤーの部分で、12mmまでのナットを咥えることができます。 意外に大きなものでも掴めますが、「掴めること」と、「締めたり緩めたりできること」は異なることを覚えておいてください。 というのも、ギザギザの谷が浅いため、挟むことができても力を掛けて回そうとすると、ナットが谷から外れて空転してしまうのです。 曲がりなりにも締めたり緩めたりできるのは、六角ナットを3点保持できる8mmまででしょう。

<ワイヤーカッター>
 このツールは、フルサイズのものと比べて簡略されており、ハードワイヤーカッターはありません。 またウェーブやその他マルチツールと同様に、カッターがハサミのような噛み合わせ方式なので、あまりに細いワイヤーは苦手とします。 メーカー公称の切断能力は、硬線(鉄線)1mmまでで、ピアノ線は切れません。
 まぁ一般にそれほど太いワイヤーを切ることはないでしょう。 私が切ることが多いのはプラスチックの結束帯で、当然ながらこれは良く切れます。

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420HC 直刃ナイフ   -Clip Point Knife-

 小さい直刃ナイフです。前作のスクォートP4との変更点は、ネイルマークが大きくなり、取り出しやすくなったことです。 基本的な形や材質は、全く変化なしです。 ウェーブで紹介したようにナイフは多目的用途に対応するツールですが、ここまで薄く小さいと、カッターに毛が生えた程度の使い方しかできません。 またガムテープを破る程度ならマイナスドライバーでもできるし、大概のものはハサミで事足りるし、 いざとなったらハサミを片刃にして凌げるはずなので、ナイフが付いている必要はないかもしれません。



ミニ折りたたみナイフと銃刀法

 この手のツールナイフ・マルチツールを携帯するうえで、必ず気に留めるべきなのが、 「銃砲刀剣類所持等取締法」(銃刀法)と「軽犯罪法第1条の2」です。 法律上は、正当な理由があり、ブレードが8cm未満で、ロック機構がない折りたたみの実用ナイフに限れば、携帯してよいことになっています。
 スクォートPS4の直刃ナイフは、刃体の長さ・幅・厚みのすべての点で、銃刀法で許可される圏内です。
 ただしこれは法廷上の話と思っていたほうがよい。 銃刀法は、刃物の種類や大きさ、条件が乱立する法律で、私達を取り締まる所轄の警察官が、全く理解していないのが現状です。
 ここで何が起きるかというと、『違法検挙』・『冤罪』です。 複数の警官に囲まれて「これは何だ」と聞かれたときに、落ち着いて正当な理由を言えるか、権利を主張できるか、私は全く自信がありません。 皆さんはどうでしょうか…。
 しかも、相手は「国家権力」の絶対的な紋章を持つ上、点数を稼ぎたくて仕方がない方々ばかりです。 法律の専門家でもない私たちが一生懸命に説明しても、点数を稼ぐカモを目の前にした彼らは、強引に手続きを取ろうとしてくるそうです。
 で、どうするかというと、「携帯しない」のが一番安全です。それじゃ嫌?まぁそうですよね…。 どうしても携帯したいなら、「できるだけ携帯していないように振舞う」ことです。
 キーホルダーにしたり、ベルトケースに着けて携帯すると、手に持っているのと同等に扱われます。外から見えるのは危険なのです。 私はズボンのポケットに入れて、使うとき以外は絶対に出さないようにしています。 その他にも、挙動不審にならないように気をつけるのは当然ですが、「サミットや万博など国際イベント開催中」=「テロ警戒中」や、 「ナイフを使った犯罪が起きた直後」など、職務質問・身体検査を受けやすい状況では持ち歩かないように、柔軟な対応が必要となります。

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ハサミ   -Scissors-

 2010年発売のSquirt PS4、ES4、Styleの3モデルから採用された新設計のハサミです。 造りはさすがのレザーマン。全体的に堅牢で、ピボットとスプリングも確かな造りです。 特にスプリングは、板バネの反発力が強く確実にハサミを開いた状態に戻すため、使っていて安心感が違います。
 ウェーブでツール開発がひと段落してから、レザーマンはビクトリノックス・ウェンガーを意識しつつ 「レザーマンらしさ」をおした機能デザインを採用しているように思います。 どちらかというとウェンガーのミニハサミに近いですかね。
 このハサミについても、

ツールナイフのハサミは「本体シルエットからツールがはみ出ている」「ピボット部・スプリング機構が脆弱」 という弱点がありますが、レザーマンのハサミはこれらを克服しつつ、さらに「工具らしい直線的なデザイン」「ヘアライン仕上げでテープ等がくっ付きにくい刃」 など、オリジナリティも発揮しています。

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木工/金属用ヤスリ/金属ノコギリ   -Wood/Metal File-

 高い性能を誇るレザーマンのヤスリ。 金属ノコギリはメーカー公称のツールではありませんが、サイドが金属ノコギリとして使えるために記載しています。
 しかしこの大きさ、一体、何に使えというのかウェーブでも触れましたが、スクォートでは自転車のパンク修理に使えるくらいかなぁという印象です。 ネジや釘の切断はしませんし、ダイヤモンドヤスリは備えていないため、釣り針を研ぐことはできませんし。 なお、ビクトリノックス・ウェンガーは「爪ヤスリ」と明確な単一用途を示しています。 一方スクォートでも爪を削れますが、見た目からして「なんかなぁ」と思います。


プラス/マイナスドライバー   -Flat/Phillips Screwdriver-

 誰だフラットプラスドライバーとか言ったやつは。 本国のサイトを見ると「Flat/Phillips Screwdriver」と書かれています。 どう考えてもプラス・マイナス共用のドライバーという意味でしょうに。
 形状・大きさともに、ツールナイフでは普遍的な栓抜きつきマイナスドライバーです。 そのため、レザーマンらしさを感じないツールでもあります。 個人的に嬉しいのが、ウェーブのマイナスドライバー(大)より、先端が薄いこと。
 用途は大きなネジを回すことより、こじ開け簡易スクレーパーとして使うことが多いため、 薄くて頑丈なことは非常に使い勝手がよいのです。

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栓抜き   -Bottle Opener-

 出ました栓抜き
 ま、ツールナイフに付いていて、いざ無いことの多い道具としてはアリでしょう。
 やはりスクォートP4からなんら変更のないツール(パーツ)です。仕方ないのかもしれません。定番中の定番、ド定番ですから。 ツールナイフの世界で、マイナスドライバー(大)の根元にあるのが、このツールの定位置と言っても過言ではないでしょう。 ただスクォートPS4に限ったことではありませんが、このツールって他に使い道ありませんかねぇ?

ドライバー(中)   -Medium Screwdriver-

 マイナス・プラスドライバーの明記がない中型ドライバーです。先端が45゚の三角形で、上記ドライバーよりさらに薄く、 こじ開けとして使用すると破損します。「中型」なのは、スクォートP4にさらに小さいドライバー(小)があったためです。
 レザーマンの中では特異的な形です。 このほうが多くのプラスネジに対応しますが、逆にマイナスネジは大きさと剛性の問題で、小さいものに限られます。
 ただ少なくとも日本では、作業効率の問題からマイナスネジが減っているため、小さなものを回す機会は少ないでしょう。 そう考えると、プラスネジ重視の設計はありがたいのかもしれません。

キーチェーン取り付けリング   -Key Ring Attachment-

 首に下げたりキーホルダーにしたりと、便利なのがキーチェーンリング
幅のある円形で薄い形状で、キーリング類は取り付けやすいです。 また割と広い角度で回転するため、何を付けていてもツールを使う際に邪魔になりにくいのも利点の一つです。
 形状はスクォートP4と同じですが、使わない時はハンドルに収納できるようになりました。 P4では誤って収納してしまうと、反対側のヤスリが収納できなくなってしまいました。 この問題をPS4ではリングの反対側をナイフに変更することで解消しています。

 ただしリングを収納した後に、もう一度出したい時は少々工夫が必要で、爪楊枝などを使って引っ張り出すことになります。

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スクォートPS4をバラバラに分解してみた

 さて。義務じゃありませんが、ウェーブも分解したのだから、やらなければならないでしょう。
 スクォートPS4を分解してみました。コンテンツとしては、ウェーブを分解したときと大差ありません。 ツールナイフ・マルチツールが分解できることは、メンテナンス(機械的性能の維持)において極めて大きなアドバンテージです。 また、ウェーブを水辺や海辺で使う人は少ないと思いますが、スクォートPS4はどこにでも持って行きたい大きさなので、錆びる機会も増えます。 このため、分解してメンテナンスできる意義は大きいものがあります。
 分解に難しい技術は要りません。ホームセンターでも売っている工具があれば、誰でもできます。ドライバーを使っていろいろと分解したことがあるなら、なお問題ありません。 ウェーブよりちょっとだけ難しい点もありますが、簡単な点もあるため、難易度はトントンでしょう。
個人による分解は、メーカー無償保証の対象外になります(レザーマンツールジャパンに確認済み)。自己責任で実行してください。

分解〜組立に必要なもの

 分解・メンテナンス・組立に必要なものは、以下の通りです。
分解・組立:へクスローブ ドライバー(トルクスレンチ) T-6 ×2本
分解・組立:プライヤー(ピボットがスライド式のもの)
錆び落とし:耐水サンドペーパー(#800,#2000)
研磨・仕上:金物用の研磨剤(ピカールなど)
錆止・潤滑:刃物専用の油
 その他には、ティッシュや布巾、パーツを水洗いできる容器、パーツを置く皿、明るく部品を紛失しにくい作業場があればよいでしょう。


 これらはすべて、普通のホームセンターで手に入ります。また、へクスローブ ドライバー以外は、なにも専用品でなくても。 プライヤーは強く挟めればいいので、大きめのクランプでも可。サンドペーパーは、台所スポンジが使えるかも。 研磨剤は、台所の流しを磨くやつで十分。油は、新品なら食用油で代用できなくもないし。 かなりいい加減なこと言ってますので…自己責任でね。
 私の場合、パーツを置く皿はフリスクの空ケース。便利です。 あと明るく部品を紛失しにくい作業場。冗談ではなく意外と重要で、散らかった机の上は危険です。 特にスクォートPS4は、ネジがとても小さく注意が必要です。 バネの反発力や手の弾みでピンッと逝ったら終わりですから。

分解の手順

1.プライヤーの根元とは反対側のネジを緩める
 へクスローブ ドライバーT-6を2本使って、プライヤーの根元ではないほうのネジを緩めます。 ウェーブと違って、スクォートPS4のピボットにはオスネジ・メスネジの区別はないため、どちらを緩めても結構です。 空回りしないように、片方のネジをドライバーで固定しておき、もう片方を左回りに回して緩めます。
 スクオートのピボットには、板バネのテンションが働いているため、ネジを緩めただけではピボットピンは抜けません。 板バネのテンションを解除するには、後述の方法が必要なので、必ずプライヤーの根元ではないほう(開いたハンドルの先のほう) から分解しましょう。


2.板バネのテンションを解除して、ピボットピンを抜く
 開口部を大きくした市販のプライヤーなどを用いて、スクォートPS4の板バネのテンション(反発力)を解除して、ピボットピンを抜きます。 板バネはピボットピン、フレーム、プライヤーの3点で固定されています。逆にいうと、この3点は板バネによって押さえ付けられており、ネジを緩めただけではピンが抜けないのです。
 写真のように、板バネの末端をプライヤーで挟み、ピンを押さえ付ける力を解除します。錆びていなければ、スルッと簡単にピンが抜けるはずです。 抜けない場合は、手でピンを押し出し、プライヤーで引き抜きましょう。
詳細写真→  市販プライヤーで噛むポイント1   噛むポイント2


3.分解したパーツをまとめておく
 これまた分解の基本ですが、分解したパーツをまとめておきましょう。上記のようにナイフ・ヤスリ側を分解したなら、 キーリング・薄型リング・厚型リング・板バネ・ネジ類がセットのはずです。 そしてナイフの反対側にキーリングと薄型リングがあり、ヤスリの反対側に厚型リングがあること、 さらにアルミハンドル→キーリング→薄型リング→フレームの順であることを、まとめたパーツを見れば分かるように並べておきます。
並べたら、今度はハサミ・ドライバー側を分解しましょう。手順はこれまでと全く同じです。分解したら、先ほどのセットとは少し離してまとめておきます。


4.プライヤーの根元側のネジを緩めて分解する
 ここまで来れば、あとはカンタン。もう板バネは分離してあるため、ピンを抜くのも楽勝です。 ナイフ側、ハサミ側のどちらから分解しても結構です。
 注意点は、ナイフによるケガと、ハンドルプレートの配置。プライヤーの根元のネジを外すと、 すべてのパーツが分解して、フレームとハンドルプレートも別々になります。 結果として、どの位置にどのプレートがあったか分からなくなります
 既知な点は、ナイフ・ヤスリ・ハサミはプライヤーの根元側に付いていて、ロゴのプレートがナイフに、ネイルマーク用のヘコミがあるプレートはハサミに対応していること。 私は写真を撮る前から分解してしまったので、反対側がどうだったか

分からないという始末。一応、ヤスリはナイフと同じカーブしたプレートで、ドライバーはハサミを似た形のプレートが対応していたはず。 ちなみに、ヤスリだけが、稼動部として2枚のワッシャーでサンドイッチされています。これは稼動部の磨耗を防ぐ目的より、厚みを他と合わせるためと考えるのが妥当でしょう。

錆び落とし・錆び止めと組立

 すみません。コンテンツをアップする前にスクォートPS4を紛失してしまいました。痛恨の極みです。 申し訳ありませんが、錆び落とし・錆び止めについてはレザーマン ウェーブのコンテンツを参考にしてください。
 組立に関しては、分解と逆の手順で、組み立てます。 まずメインフレームと板バネ部品の3つを仮組みしてから、先述のピンを抜く際にプライヤーで噛んだ部分を、同様に噛みます。 それから、外側のカラープレート→各ツール→裏側のカラープレートの順でピンを通していきます。

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スクォートPS4 NL "ナイフレス"を作ってみた

これより先は、当ウェブサイトの管理者が、独自に作成したツールを紹介しています。
既製品のスクォートPS4とは異なりますので、ご注意ください。

 スクォートPS4を分解しては組立していたら、「ナイフレスにできたらなぁ」と思うようになりました。 特に私にとって、直刃ナイフは実際に無用で、これを搭載するがゆえに職質に怯えるのは我慢できません。
 ところでウェーブでも書きましたが、分解できると「好きなツールを積む」ことへの切望が、一気に身近に感じてしまうのです。 そこに、PS4と比較するために隣りに置いていたスクォートP4にふと目が留まりました。

「まさかね…」
 工具箱からデジタルノギスを出し、スクォートP4のキリとマイナスドライバー(特小)の厚みを測ってみました。
「1.50o…ナイフと同じ!」
 この瞬間、スクォートP4を破壊することを決定。もともと写真を撮ったらお蔵入りか、売るつもりだったから全く惜しくありませんでした。 だけど、手持ちのニッパーは両刃なので、カシメのピボットを噛めません。 急いで形状の合うニッパーを買い足し、「さよならっ」とピボットを切断。無事に目的のツールを取り出すことに成功しました。

 ここからは盤石です。まずは普通に分解して、直刃ナイフと、反対側のピボットに付いているキーリング、ワッシャーを取り除きます。 そこに、スクォートP4のドライバー(特小)キリをインストールします。 キーリングは、ヤスリの反対側に付けようとすれば付けられましたが、リングを収納すると、P4と同様にヤスリが仕舞えなくなるため、いっそのこと廃止しました。
 そして完成…しましたが、何かダサイ。 そのまま入れ替えるだけだと、「LEATHERMAN SQUIRT Ps4」ロゴがあるプレートにドライバー(特小)とキリが来るため、表情が変わってしまうのです。
 面倒だけど、また分解して、今度はヤスリ側とドライバー(特小)・キリ側を入れ替えました。 ロゴのプレート側にヤスリが来るようにしたわけです。

 そして、今度こそ完成!
 結果は満足のいくものでした。これで職質されても大丈夫かな?まだハサミが残っているけど、ナイフよりは捕まる可能性が低いはず。


参考・引用

 ・キャンプで活躍!ナイフ・ナタ・斧の使い方(2001年、初版)
  鈴木アキラ・著 山と渓谷社・発行
 ・レザーマンツール・ジャパン 取扱説明書(2010年購入)
 ・レザーマンツール・ジャパン オフィシャルウェブサイト
  http://www.leatherman-japan.com/
 ・レザーマン オフィシャルウェブサイト
  http://www.leatherman.com/

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