UCO Candle Lantern
2005.10.19更新
 UCO(ユーコ)キャンドルランタン(アルミ)の紹介です。
 このランタンは、アウトドア用のキャンドルランタンとしてトップシェアを誇る製品です。 カラーラインナップは、ブラックシルバーレッドイエローブルーグリーンゴールドの全7色です。 ゴールドだけがブラス(真鍮)製のため、他のカラー(アルミ製)より少し高価になっています。
<テクニカル・データ>
ユーコ キャンドル・ランタン(アルミ)イエロー
( ) 項目  実測値 公表値
(A)  収納時:本体だけの高さ  108.5mm 110mm
(B)  収納時:把手を含む高さ  126.1mm -
(C)  使用時:本体だけの高さ  165.7mm 165mm
(D)  吊下時:把手を含む高さ  259mm  -
(E)  吊下時:チェーンを含む高さ  332mm  -
(F)  本体の太さ  51.0mm  50mm
(G)  把手を含む太さ  57.8mm  -
(H)  ロウソク(ノーマル)の太さ  30.5mm  -
(I)  ロウソク(ノーマル)の高さ  88.0mm  -
( ) ロウソクを除く重さ  142g  -
( ) ロウソクを含む重さ(新品時)  185g  181g
( ) 構成パーツ数(燃料を除く)  10点  -

もくじ

 (1)外見について
 (2)ロウソクの途中での交換はできない
 (3)点火はとても簡単。
 (4)魅力あふれる火と実際の明るさ
 (5)実際の点灯時間はメーカー公称以上!
 (6)ロウソクの交換テクニック
 (7)基本的にメンテナンスフリーですが…
 (8)良いところだらけなキャンドルランタン

 カラーを選びには迷いました。個人的に「ブルーとグリーンはないな。」と思いましたが、その後が難しかったです。 ザックの中で目立ち、暗闇で蝋燭の黄色の火を付けたときのイメージから、イエローカラーを選びました。
 なお、真鍮製のゴールドは、無着色の真鍮の色がゴールドであるためで、使い込むほどに味わいが出てきて、汚れても磨くことできれいにできると思います。
 逆にアルミ製のカラーは、シルバーを除いて、アルミの表面に塗装したものなので、経年劣化で塗装が剥げてしまうことも考えられます。 アルミと真鍮の値段の差はそこまで大きくはないので、長く使いたい方、予算が許す方は真鍮製のゴールドを買ったほうがよいかもしれません。
 真鍮もアルミも、機能面はほぼ同じです。 強いて言うなら、真鍮のほうが頑丈である代わりにやや重い(公表値249g)ので、登山用途で軽量化を求める方はアルミをお勧めします。
 ザックなどに入れて持ち運ぶときは、この状態です。 本体底部にハンドルをはめ込むことで、本体上部が勝手に開くことを防止できます。 風防ガラスが本体に守られているため割れにくく、割れてもガラスが飛び散ることはありません
 流石というべきか、この製品は非常に完成度が高いことが見て取れます。 金属の弾性と、「挿入して回してロック」という基本的な構造からできています。 風防ガラスと本体長さのバランス、蝋燭の長さなど、すべて計算し尽くされているのがわかります。 チェーンだけは必要・不必要が分かれるところだと思いますが、本体部分に無駄なパーツは一切ありません。
 何気にオプションパーツも豊富で、純正のロウソクはもちろん、リフレクター(反射板)や虫除け香料つきの蝋燭などもあります。 UCO以外のサードパーティからも、この商品に合わせたパーツを出しています。

 ランタン上部の天板です。 人や物が直接火に触れないようにするのと、 ロウソクの熱を分散し、ハンドルを持っていても手が熱くなりにくくするための部分です。 火の熱を逃がすように隙間が多く設けられていますが、 本体とつながっている3本の橋で風防ガラスも支えている、非常に重要なパーツです。
 揮発するロウに一番触れるパーツなので、購入時はシルバーだったのが、黄土色になってしまいました。 つんつるてんのシルバーよりは「こなれた」感じがするので不満ではありませんし、機能上もまったく問題ありません。

 ハンドルは針金みたいで弱そうですが、意図して曲げない限り大丈夫そうです。 中央にチェーンが寄る形で、チェーンの先には吊り下げるためのフックがついています。 しかしこのフックとチェーンですが、ハンドルの中央に固定されているわけではないので、ハンドル上を自由にスライドしてしまいます。
 チェーンは、手でランタンを持ち運ぶときやテーブルに置いたときなどに邪魔と感じます。 ハンドルを本体上部から外せば、そのときに取り除くことができそうです。

 本体内部の様子です。本体底の黒い部分を右に廻すとロックが外れ、引き出すことで本体からキャンドルケースを出すことができます。 キャンドルケースは点火するときやロウソクを交換するとき、メンテナンスなど、何かと開けることが多いです。これを分解してみましょう。
 キャンドルケースは、ケース本体(銀の部分)を持って、本体底部の黒いベースを回すと、 ロウソク、キャンドルケース本体、ピストン、スプリング、ベースに分解することができます。
 なお、ある程度ロウソクを灯し続けると、溶けたロウがケースの内側にくっ付いてしまい、ロウソクが抜けなくなります。 無理矢理抜けば可能かもしれませんが、ロウソクの残量が中途半端でも、基本的に途中での交換はできないと考えてよいと思います。

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 また、ロウソク底部のバネがあたる部分には、金属のお皿(ピストン)が当てられています。 ピストンは、スプリングがロウに食い込むの防ぎ、ロウソクが溶けてもロウが下に落ちないようにしています。 ですが、このピストンはホルダーの内径にピッタリのサイズではないので、 ロウソクが残り少なくなってきたときにどうなるのかが、かなり心配です。 隙間から溶けたロウが落ちてしまうのでしょうか。


簡単な点火の方法

 本体上部をせり上げたところです。ここから火をつけて使用します。 マウスを写真に合わせると、風防ガラスだけを下げた写真が表示されます。 このようにして火をつけ、風防ガラスを元に戻すのが、点火方法のひとつです。この方法は、ライターでは支柱が邪魔してちょっと火が付けにくいです。
 なお、ガラス火屋は一番上でパチッとはまるので、勝手にガラスが下がってきてしまうことはありません。
 もうひとつの点火方法は、本体底部を回してキャンドルケースごとロウソクを取り出し、点火してから本体に戻すというものです。 この方法のほうが、ライターで点火しやすいですし、煩わしさもなくて簡単です。

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魅力あふれる火

 点灯時の様子です。芯の長さにもよりますが、明るさに関しては、「それなり」です。 特別に太い芯を使っているわけでもありませんし、ロウソク相応の明るさといったところでしょうか。 暗闇の中で本を読むのなら…まぁ大丈夫ですが、細かい作業は以ての外。不可能です。
 写真は、実際の見た目に合わせて明るさを補正してあります。小説の文字がどう見えるか、 クリックして確認してみてください。 食事や簡単な作業、慣れた道具での作業、視覚を補助として行動できることなら問題はありません。 まったくの闇では困るけど、少し暗いぐらいがよいと感じられるなら、これに勝るものはありません。
 しかし…なんと味わいのある灯りでしょうか。各方面で著名人に定評があるのもうなずけます。 私は、溶けたロウの中に落ちた芯のカスが、熱対流で踊っているのを見るのが、なんとも好きです(ちょっとレアな現象です)。

 キャンドルケースを横から見ると、窓からロウソクの残量が確認できます。 ロウソクが減ってくると、スプリングによってロウソクは押し上げられます。 窓からロウソクの底が見えるので、それでロウソクの残量が分かるというものです。 しかし、この窓は、ケースの上から下まで隙間が続いているわけではありません。 ロウソクの底部が窓の隙間より上に行ってしまったら、どうやって残量を把握したらいいのでしょうか。


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実際の点灯時間は?

 ユーコのパッケージには、『9+ hour burn time』と書いてあるので、このキャンドルランタンは最大で9時間以上も 点灯しつづけるそうです。明るさこそ異なりますが、一般的な小型のガスランタンで250gのガスを使うのと同じくらいの点灯時間です。
 「だから、暗いんでしょ?」と言ってしまえばそれまでですが、「この明るさで十分」とか「とにかく軽さ」とかの 条件が出てくると、僅か180gちょいでポケットにも入るキャンドルランタンは、これはこれでアリなツールだと思います。
 「9時間以上」と書いてありますが、実際の点灯時間はそれより長いと感じるので、計ってみました。
まだ残量はフル。 [00:00]未使用状態。
ロウソクの底が見え始めました。 [02:30]窓の下側に
ピストンが見え始める。
ようやく「残量を確認」できる感じです。 [04:00]4時間後。

まだロウソクの残量は半分以上です。 [05:00]5時間経過。
ロウソクの残量が半分を過ぎました。 [07:00]7時間経過。
一時間あたりの減り方は一定ではありません。 [08:00]8時間経過。

窓から残量を確認できなくなる。 [09:30]窓の上側に
ピストンが隠れる。
 テスト環境は、無風の屋内で水平に安置した状態です。 スプリングの強さやキャンドルランタンを動かすことで、実際の燃焼時間は変わることをご了承ください。
 点灯開始から9時間30分で、ロウソクの底が窓の上まで行きました。もうロウソクの残量を視覚的に確認することはできません。 ここから消火するまでが、最も重要なデータです。
 窓から見えるロウソクの残量と併せて、火の様子も載せています。 見ての通り、燃焼でロウを消費しても、スプリングが絶妙な強さでロウを押し上げるため、 火の位置はほとんど変わりません。 よって、スプリングの強さも計算して作られているのが分かります。

ロウソクの底には芯の台座はない。 ロウの底にピストンの底が見える。 [14:30]燃料切れ寸前。
ピストン表面が見える。

 キャンドルランタンは、燃料を交換したときから燃料切れの直前まで、火の燃え方に違いがほとんどありません。 よって燃料切れで消えるときは突然です。純正のロウソクは、ロウと芯以外は何もありません。芯が台座などで支えられていないのです。 そのため、底のロウが固体なら芯は立っていますが、芯の周囲が溶けて液体になった途端に、芯が液体のロウに水没することで自然消火します。
 いよいよ燃料切れが起きるときの兆候として、溶けたロウの底にピストンの表面や気泡が見え始め、火の高さが急に低くなります。 実はこれが見えてからも、けっこうな時間を燃え続けるのですが、何もヒントがないよりはマシだと思います。 左の写真は、点火から14時間30分の様子です。 芯の根元あたりにピストンの表面が見えているのが、はっきりと確認できると思います。火の高さも上にある写真よりもはるかに低くなっています。

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テスト結果とロウソクの交換のテクニック

 ロウソクに点火してから、なんと14時間40分で燃料切れによる自然消火を確認しました。 ロウソクの底が窓の上に行って、残量を確認できなくなってから、5時間も燃え続けたことになります。 こう考えると、メーカー公称の9時間以上の点灯時間は、かなり控えめな数字であることと、残量を確認できなくなるまでがおよそ9時間であると分かります。
 ただし、これらの数字、特に残量が確認できなくなってからの5時間は、あいまいな目安であるとお考えください。 前回私がテストしたときは、同じようなテスト環境でも残量確認不可から3時間ほどで燃料切れが生じました。 特に今回は、たまたま芯がケースの縁に寄りかかることになったために燃焼時間が延びたと考えられます。 本来なら、とっくに芯が溶けたロウに水没していてもおかしくはなかったはずだからです。
 さて、ロウソクの交換です。ロウソクを交換するときは、ロウが完全に固まった後のほうが楽です。 前述の通り、溶けたロウがケースにくっついているので、ベースを外しただけではロウは取れません。 上から指で強く押せば外れますが、けっこう力が必要なことと、外れたはずみで指をケースにぶつけ、ケガすることがあるので、この方法はおすすめしません。
 筆者は、20mmくらいの棒を押し当てて逆さまにして、上から力をかける方法がおすすめです。 1円玉より太いとケースに入りません。汚れてもよいものなら、枝や石でもOKです。写真では、スティルワインのコルク栓を使っています。
 外したロウを新品と比べてみると、かなりギリギリまで使い切ったことが分かります。心配していたロウの漏れや垂れもわずかです。 このシンプルな構造と、凝縮された機能性に思わずニンマリとしてしまいます。(^ー^)

 ピストンに残ったロウを取るには、ピストンとロウの間に爪を挿すようにすればペリッと剥れます。

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汚れてきたらメンテナンス。

 UCOのキャンドルランタンは、非常にシンプルな構造で、ほとんどメンテナンスは必要ありません。 しかし、繰り返しロウソクを替えて使っていると、どうしても風防ガラスやキャンドルケースが手脂やロウで汚れてくるものです。 キャンドルランタンの機能上は、ほとんど問題になることはないのですが、特にガラスはキレイに保ちたいというのが人情でしょう。 溶けてこびり付いたロウは、けっこう始末の悪いものです。こすったり布巾で拭いたりしても、最後は薄く延びるだけです。
 そこで、ロウの融点が低い点を利用して、お湯につけるのが手っ取り早いです。 ロウがこびり付いているところは、あらかじめ爪などで軽く削り落としておきます。 それからマグカップなどに熱湯を入れ、風防ガラスやキャンドルケースを沈めておきましょう。ちょっと経ったら取り出して拭きます。 何回か繰り返すと驚くほどキレイになります。
 本体からハンドルまで、この方法でキレイになりますが、ベースの部分だけは樹脂製なので、耐熱温度が気になります。怖くて試せません。 部位的にそれほど気になるものでもないと思いますので、乾いた布で軽く拭く程度で済ませます。

余談:キャンドルランタンの利点はこんなにある!

 都会で暮らす方にしてみれば、「なんでこんなものを使うんだ?停電?」とか思われそうですね。 でもアウトドアでは、「本来、夜は寝るもの。大型ランタンを使い夜を光々と照らすのはナンセンス。」という風潮があるのです。 その魅力は実に味わい深く、著名人にさまざまな理由があって親しまれています。けっこう、挙げたら限がないくらいです。 欠点はそう、まさに「暗い」ことだけです…。

「火」としての魅力がある。独特のスローな雰囲気を楽しめる。
 何といっても馴染みのある火には安心感があります。風で揺れる姿も魅力的です。また芯の長さやロウの状態によって表情が変わるので、面白みもあります。
必要十分な明るさで、周囲がアンダーにならない。星を見るのにちょうどよい。
 弱点を置き換えただけのようですが、凝視しても目がチカチカしないのは、アウトドアではありがたいものです。 「都会は街灯があるから星が少ない」というのと同じで、 人間は暗いと瞳孔が開き、慣れるとけっこう見えるものですが、夜に光々と明るくすると暗いところがまったく見えなくなってしまいます。
無音である
 ガスランタンやガソリンランタンは、どうしても小さく「コォー」と音がするものですが、キャンドルランタンはまったくの無音です。
構造的に故障しにくく、安全で簡単。
 ガソリンランタンのようにバルブの目詰まりやマントルが破けたりしないため、まず故障は考えられません。 水に落としても水気を切れば問題なく使えます。最悪、本体が全損しても、ロウさえ取り出せれば容器と芯で代用できます。 また、ガス・ガソリンランタンは、転倒させたら一大事です。小火で済めばよいのですが、すぐに対処しないと爆発の危険性もありえます。 キャンドルランタンは子どもでも扱えますし、熟知していなくても点火・消火は極めて簡単です。しかもメンテナンスフリーです。 キャンプで「パパが点火したけど酔いつぶれた」→「消し方が分からない」なんてこともありません。(^^;)
イニシャルコスト・ランニングコストに優れる。
 ガスランタンは最低5,000円〜、ガソリンだと10,000円以上は当たり前の中で、キャンドルランタンは燃料つきで3,500円程度です。 イニシャルコストで太刀打ちできそうなのは、ケロシンランタンと電池式くらいでしょうか。 ランニングコストは、点灯時間基準ですが、27時間(9時間×3本)で500円弱です。ガスランタンはまず太刀打ちできません。 ガソリンランタンでも手の届かないレベルです。
燃料(蝋燭)が世界中どこでも調達できる
 これは世界中を旅する方、特に発展途上国では重要な機能でしょう。ホーボージュンさんは自著で「教会のミサで使うロウソクをもらい、削って流用した」と キャンドルランタンを紹介しています。 私は今のところ、キャンプ前夜に買い忘れたロウソクの代わりにと、自宅の停電用のロウソクを使ったことくらいしかありませんが…。


◆参照・引用(五十音順)
 ・アウトドア・サバイバル・テクニック(2000年、初版)
  赤津孝夫 著、株式会社地球丸 発行、p.124-125
 ・実戦主義道具学(2004年、初版)
  ホーボージュン 著、株式会社ワールドフォトプレス 発行、p.31-34
 ・バックパッキングのすすめ(2005年、第4刷)
  堀田貴之 著、株式会社地球丸 発行、p.76-77

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